クリニックの開業で最も成否を左右するのが『用地選定』。 長く診療所経営する上で、地域や土地の条件は年々更新されていくため、敷地選びに正解はありません。ただし、多くのクリニックに選ばれてきた王道は存在します。
まずは 、クリニックに適した用地とは何か、それを左右する条件は具体的にどういったものかについて知ることが先決です。その上で、具体的な用地選定の段取りや、失敗しやすいケースについてもご紹介します。
まずはじめに、開業方法の3つのパターンについてご紹介します。
クリニック開業事例の中で多いのが、元勤務していたエリア周辺での開業です。地域の顔なじみの患者とのコネクションを活用でき、スタートを切りやすいのがメリットです。元勤務先の病院との連携診療も期待できます。
自分の育った地元で開業するケースも多いです。地元の住民構成、競合クリニックの有無など、生の情報を持っていることは開業を行う上で有利です。また、家業として診療所を営んでいる場合、継承して開業する場合もこれに該当します。すでに周辺地域の住民とのコネクションを活かせるので、 集客に困ることはないでしょう。
落下傘開業ともいいます。診療圏調査などで、開業するに最適な場所を選定した場合はこれに該当します。土地勘はないため、事前によく調べることが重要です。また、安定して集客を行うため、開業後も広告やホームページの作成など、認知度向上のための取り組みを継続して行う必要があります。
それでは、具体的なクリニックの開業用地の選定方法について解説します。対象敷地のミクロな視点から、地域を俯瞰した視点まで、多様な観点から敷地検討を行いましょう。
開業を予定している場所が、今後どの程度発展の可能性があるか、鳥瞰的かつ長期目線で確認します。今は家族世帯が多いエリアでも、若い夫婦や子供の数が減少傾向にあれば、将来高齢化するかもしれません。今後数十年運営することを考慮して、人口動態などを踏まえたエリアの将来性をチェックしましょう。
エリア・敷地によっては、土地の間口や用途制限など、法的な制約を考慮する必要があります。地域という目線であれば都市計画法、敷地という目線であれば建築基準法などが該当します。
開業エリアから絞り込めたら、次は個別の敷地の特性について確認していきます。 駅やバス停など公共交通機関による利便性や、駅から遠い地域であれば駐車場の配置や出入りに支障がないかのチェックを行いましょう。
開業に成功している土地には『法則性』があります。以下に挙げる三つの事例は、高確率で長期的に患者を集めることができる可能性が高いため、多くのクリニックの開業用地として選ばれてきました。
大規模病院と異なり、診療所の存在が認知されやすいことは重要なポイントです。人通りが多く、車の行き来が多いことで、クリニック自体が、広告媒体として機能するのは効果が大きいです。
住宅地、団地、マンション立地など、既に人が多く住んでいるエリアは、クリニックの需要が高いエリアです。この場合、住民の人口構成によって適した医療スタイルが異なります。古くからある住宅地なら高齢者医療、新興住宅地なら小児科や産婦人科が適しています。
市街地再開発は、大手デベロッパーにより入念な調査で、人口増が想定されるエリアです。将来性が皆無なところに市街地を開設するケースは稀ですので、成功の可能性が高いといえます。
ここでは、あえて失敗しがちな土地選定の事例について解説していきます。中には開業予定地を探し始めた方にとっては、意外性のある項目もあるかもしれません。また、すでに予定している土地がある方は下記に該当していないでしょうか。合わせて見てみましょう。
新興住宅地や駅近物件など、患者の多い場所を狙うと、競合するクリニックと出店するタイミングがぶつかる可能性が高いです。
需要に対し供給が少ないエリアを見越して、クリニックが極端に少ないエリアを選定すると、診療科目によっては連携して診察できる医院が少なすぎて開業後に苦労するケースもあります。特にマイナーな診療分野を標榜している場合、医療連携先が見つからず、 照会先探しの負担が増えてしまいます。
来訪患者は心理的に不安要素を抱えていることが多いです。死・葬儀を連想させるような施設が近いことは、患者やその家族に敬遠される可能性があります。
実家を継ぐなどのケースで、やむを得ず上記のような敷地への出店せざるを得ないこともあるでしょう。そのような場合は、広告媒体やホームページの拡充などによって挽回を検討しましょう。
クリニック探しにとってインターネットの存在が重要になりつつある現在でも、立地条件と言う条件が最も重要であることに変わりはありません。自分一人では用地選定が進まない場合は、医療分野に長けた不動産屋などのサポートもあります。迷ったときは気軽にアクセスしてみると良いでしょう。
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