近年、再編・統合により病院数の数は減る一方で、医師数は増加傾向にあり、それに伴い診療所の件数は増える傾向にあります。またその物件形態も多様化しており、最適な物件の選び方のわからない方は多いでしょう。
本記事では、基本的な開業候補地の患者数の推定方法と、それぞれの診療スタイルに適した立地、物件のそれぞれの特徴について解説していきます。
人気のある、良好なエリアには既に同業の医療機関が開業している可能性があります。また、大病院などが近くにあると、規模と知名度の差によって患者を引っ張られてしまう可能性が高いです。
エリアによって特色があり、高齢者が多いか、若い夫婦が多く、今後子ども世代の増加が見込めるか、などといった地域のカラーに対し、専門とする医療分野をマッチさせることが効果的です。
オンラインで自治体ごとの世帯構成を調べることも可能ですが、より詳細な診療圏単位のエリア事情を入手するには、やはり実際に出向いて確かめることが最も確実でしょう。地元の不動産業者にヒアリングすることもお勧めです。
ここでは物件条件で確認すべきポイントについて紹介します。
一般的に新しく、駅などからアクセスしやすい範囲では、賃料が高くなる傾向にあります。患者さんの集まりやすい人気のエリアでも、事業収支と比較し無理のない賃料設定を心がけましょう。
医療専門分野により、必要な機器(MRI、レントゲン、ウォーターベッド)の設置には床の耐荷重が通常より大幅に必要となるケースもあります。
また、上層階であれば、高齢者や患者さんがアクセスできるエレベーターの有無、および定員人数の確認は必須条件となります。エレベーターはあっても車椅子が利用できない、もしくは出入りの回転ができないケースもあるので、注意しましょう。
また、診察に必要な機器の電気容量が確保されているか、衛生器具の設置に必要な給排水がどこに設置可能か、についても確認しておきましょう。物件の現地確認時に、診療室の想定機器レイアウトを持参するとよりチェックがスムーズです。
ここまで開業立地・そして物件形態のそれぞれのメリット・デメリットに触れてきました。そこで「開業しやすい」「失敗しにくい」開業スタイルをピックアップします。
最もベーシックで出店件数も多いのが住宅地です。出店を希望するドクターの所属医院や地元付近が選ばれることが大多数です。保険診療が中心で、エリアのかかりつけ医として安定した集客を期待することができます。一方、新規患者の来訪には広告を含めた取り組みが必要な立地でもあります。
圧倒的に来客数を期待できるのが、ターミナル駅周辺の物件の強みです。都心部の商業エリアで人通りも多く、さらには多くの路線が乗り入れる駅であれば、遠方からの来客も期待することが可能です。自由診療のクリニックに多い出店スタイルとなります。
近年の商業施設開発では、クリニックモールを併設してオープンすることが多く、駅近に匹敵する集客数を期待することができる開業物件の一つです。また、住宅地またはマンションを含めたエリア開発のショッピングモールも増加しており、住宅地型のメリットも併せ持つ物件も出てきています。
この記事では医療開業物件を選ぶのに必要な「立地」「物件形態」について解説しました。 商業・住宅地とセットで開発される医療モールなど、その物件形態も多様化していますので、常に新しい動向をチェックする必要もあります。
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